幼馴染み~初恋物語~

1位は清山のチーム。和樹のチームは2位だが、少し差が開いている。

「次はゴリの番だから、一気に引き離すから」

清山の言う通り、ゴリは後続を引き離したが、和樹のチームも2位で回ってきている。

お昼休みの練習の成果が表れていたのだ。

ゴリがバトンを渡す時、櫻が次の走者のライン上で応援していた。

「早くっ!!早くっ!!」

走り終わったゴリが、櫻に向かってバカにするように笑う。

「チビ?負けたって泣くなよ~?」

「ふんっ!!絶対に負けないんだからっ!!」

よし…………

ここで助走を始めて…………

右手を後ろにして…………

今走って…………あれ?

櫻が何度も練習したバトンを受け取る助走を開始した時、転んだのである。

「へへんっ!!これで負けだな?」

転んだ櫻をニヤニヤと笑っているゴリが、櫻の足を引っ掛けたのだ。

「くっ!!」

慌てて立ち上がり、涙を堪えて走る櫻は1位とは半周差の最下位。

迷惑かけないようにってお昼休みもいっぱい練習頑張ったのに…………

これじゃあいくら和樹君でも勝てっこない…………

何でそんなに酷い事ができるの…………?

ごめんね…………

和樹君…………

私のせいで…………

カッコ悪い思いさせちゃうね…………

本当にごめん…………

櫻は走り終えると、泣きながら整列する場所に戻っていった。