幼馴染み~初恋物語~

「なんとなくだけど、今の櫻ちゃん元気なくない?」

「えっと…………えっと…………」

和樹に詰められると、櫻は途端に泣き出しそうになった。

徒競走で最下位だった事を櫻は気にしていたのだ。

「私の前まで1位でバトンを渡されても、どんどん抜かれて4位になったらどうしよう…………」

櫻が和樹に胸の内を話すと、和樹は笑い飛ばした。

「僕らは負けたりしないよ?お昼休みにいっぱい練習したんだから。櫻ちゃんも頑張って練習したよね?」

「でも…………2組の人達に勝った事ないし…………負けたら、また嫌な事されるし…………」

今にも泣き出しそうな櫻の頭を優しく撫でた和樹はこう言った。

「櫻ちゃんがもし遅れたら、その分は僕が取り返すから大丈夫っ!!櫻ちゃんは自分のできる限りでいいから頑張ってっ?」

「うんっ!!」

櫻は満面の笑みを浮かべて笑ったが、目から涙が溢れていた。

和樹の言葉に嬉し泣き。

遅れたって大丈夫。

和樹君が何とかしてくれる。

そんな安心感が、元気を取り戻させてくれた。

「私も頑張るから、和樹君も頑張ってね?」

「うんっ!!」