幼馴染み~初恋物語~

真吾がしつこくバケツを見せようとすると櫻はムキになって言った。


「でも…でも…和樹くんのが見たいのっ!!」


「そっかー。わかった!」


素直な気持ちを一生懸命、真吾に話した。

櫻は正直、魚なんてどうでも良かったが、頑張っている和樹を見ているのが嬉しかった。


「櫻ちゃーんっ!!僕が取るからそこで待っててーっ!!」


「うん。頑張ってね~っ!!」


魚なんてどれでも一緒なのに。と不思議そうな表情を見せていた真吾が、わかったと笑うと他の園児の元へ走って行った。


「と、と………とれたーっ!!」


走っていく真吾を見送ると、櫻は声のする方に視線を戻す。

すると歓喜の声と嬉しそうに両手を押さえて走ってくる和樹が櫻の視界に飛び込んで来た。


「櫻ちゃんっ、見て見て!僕もつかまえたよ!」


「わぁ…っ、和樹くんすごーい!お魚さん可愛いね!」


和樹が両手で掬ってきた手のひらにいる魚を二人で目を輝かせて見ている二人。


「どう?僕、頑張ったでしょ?」


「うんうんっ!!和樹くんはすごいね~っ!!」


最高のドヤ顔を見せる和樹を見ると、櫻も自分の事のように嬉しく思えたのだった。