これから暗くなるのに、取り残されると怖い櫻が、慌てて和樹の手を掴もうとした時、和樹が櫻の手首を掴む。
和樹はさすがに櫻を、ここで一晩過ごさせる訳にはいかないと必死だった。
「バカでもいいよっ!!雨が降ってくる前に絶対に帰るよ?」
「嫌だーっ!!帰りたくないーっ!!ママに怒られるもんっ!!」
泣き叫んで、抵抗する言葉を発するものの、足はさほど抵抗していない櫻。
和樹に手首を引かれると、洞穴の外まで出てくる。
「櫻ちゃんのお母さんが心配してるから、無理矢理にでも連れて帰るからねっ!!」
「ママに怒られるから嫌…………」
だんだん櫻の抵抗する声も弱くなってくる。
結局、和樹と一緒に帰りたいのだ。
ここで放って帰られると困るから、抵抗も弱々しいものになっていた。
「ダメっ!!絶対に帰るっ!!」
和樹君にそこまで言われると仕方ないなぁ?なんて櫻は思ってしまう。
これで言い訳もできた。
和樹が迎えに来たから仕方なく帰ってきた。
そんな言い訳。


