幼馴染み~初恋物語~

「櫻ちゃーん?」

和樹が洞穴に入っていくと、丸太に座っている櫻が泣いていた。

「ひっく…………ひっく…………私…………帰んないから…………」

ママなんて…………

大嫌い…………

空が明るいから、時間がわかんなかったんだもん…………

私なんていらないって…………

私だって…………ママなんていらないもん…………

そんな事を考えながら泣いている櫻の隣に座って、優しく声をかける和樹。

「一緒に帰ろ?櫻ちゃんのお母さんも心配してるよ?」

「ママは…………心配なんて……してないもん…………」

「僕とお母さんと櫻ちゃんのお母さんと3人で櫻ちゃんを探してたんだよ?」

「私はいらない子だって…………ママが言ったもん…………」

「でも本当は、櫻ちゃんのお母さんも櫻ちゃんが大事だと思ってるから、探してるんじゃないかな?」

「ママは私の事を大事だと思ってない…………」

何を言っても泣いてる櫻を説得するのは難しい。

まだ幼い和樹では、なおさらの事だった。