恥ずかしそうにしている櫻に、翔の母親が言った。

「遥ちゃんママは、本当に旦那さんと仲が良いよね?」

「あ…………でも帰ってきたらキスなんてしてませんよ?」

「あまり帰って来ないんだから当然なんじゃない?」

「まぁ…………そうですけど…………」

和樹は高校を卒業して、夢だったサッカー選手になっていた。

海外からのオファーもあったが、日本のトップチームを選んだ。

海外の方が年棒も多く、夢が広がるのだが、日本のチームを選んだのは、もう櫻に寂しい思いをさせたくないから。

ただ日本のチームにいても、遠征で年間の半分近くは家に帰って来れないのが実情。

寂しくないか?と聞かれれば、やっぱり寂しい。

でも和樹との間にできた娘の遥がいるので、夢だったケーキ屋さんのオーナーに向けて、アルバイトながら修行をして子育てに励んでいる。

それが今の櫻だった。