幼馴染み~初恋物語~

「その携帯をもう一度、俺達に向けて?」

「う……うん……?」

さっきまでの笑ってる表情ではない和樹に、戸惑う櫻。

すると和樹は、キスをするように顔を寄せてきた。

思わず目を瞑る櫻は、携帯を手にしたまま固まってしまう。

「今……シャッター押せよ……」

唇は触れていない。

しかしキスをしているような写メが撮れた。

クスクスと笑う和樹は、目をとじたまま真っ赤なな櫻に言う。

「龍聖の真似だよっ!!キャハハ」

「も……もうっ!!そういうのやめてよ~っ!!」

頬を染めた櫻が、和樹の肩をポカポカと軽く何回も叩いた。

「ごめんっ!!ごめんっ!!」

象から降りた後も、二人でくじゃくの前で写メを撮ろうとしたが、くじゃくのイメージは綺麗な羽が開いている姿。

しかし、オスがメスを誘う時に羽を開くので、何もないとただの大きな鳥にしか見えない。

そんなくじゃくに向かって櫻が言った。

「おーいっ。くじゃくくーんっ!!羽を開いてよぉっ!!」

櫻が何度もくじゃくに言うが、羽を開いてくれそうにない。

和樹はその様子を見て笑った。

「櫻を女だと認識してないんじゃない?」

「そんな事ないっ!!」

「アハハハっ!!まぁ良いじゃん。俺と櫻の子供を連れて、家族で綺麗なくじゃくの写真を撮るって事でさ?」

この言葉を聞くと、櫻はまた涙が溜まってくる。

和樹君から言ってくれた…………

もう一度約束してくれた…………