幼馴染み~初恋物語~

そんな暑い日が続く夏休みのある日。

和樹に合わせてくれるのは、やっぱり櫻の方。

和樹が池を覗いて、ザリガニを探していた時、横にしゃがんで一緒に見ていた櫻。

「ねぇ?ザリガニ取れそう?」

「こういう石の下に隠れてたりするんだよ?」

和樹が池の水に浸かった石を避けると、3センチほどの小さなカニが水の中に消えていった。

「今、カニがいたよ?和樹君も見た?小さくて可愛いやつ。」

「あれはサワガニっていって、海じゃなくて山の川とか池にいるんだよ?」

「そうなんだ?ザリガニとかセミは怖いけど、あのカニなら大丈夫かも?あれなら小さくて可愛いし。」

「よしっ!!取ってあげるね?」

「うんっ!!可愛いカニ見たいなーっ」

幼稚園の頃に見た事のある記憶が、蘇ってくる櫻。

あの時は魚だったなぁ…………

一生懸命、和樹君が魚を取ってくれたっけ…………

なんて思って見ていた櫻も、今回は隣に座って、石を一緒に避けるお手伝い。

「あっ和樹君っ!!ここにいるよっ!!」

「待ってーっ!!カニさ~んっ!!」