幼馴染み~初恋物語~

猿山に着くと、猿もお昼ご飯の時間。

「可愛いね?」

「そうだな。あの小さい猿って櫻みたいじゃない?」

猿の群れの中にいる小さくて、少し動きが遅いので、餌がなかなか貰えない猿を、和樹は指を差して笑う。

そんな横顔を見ると、急に寂しくなった櫻。

もうすぐいなくなっちゃうんだね…………

寂しいよ…………

行かないでなんて言えないもん…………

本当はもっともっと一緒にいたいのに…………

返事のない櫻は、目に涙を浮かべていた。

「どうした?」

「ううんっ!!何でもないよっ !!あの猿は和樹君みたいっ!!ボール蹴ってるよーっ!!」

櫻は涙を浮かべたまま、和樹がサッカーを頑張れるようにと、無理して満面の笑顔を作った。

和樹とお別れするまで、絶対に涙を見せないと誓ったのだ。