幼馴染み~初恋物語~

和樹がサッカー留学する2日前。

電車に揺られて、市内の動物園にやって来た。

門をくぐると、珍しい鳥や、キリンなどの檻のある通路を歩いて行く。

「和樹君っ!!こっちにライオンがいるよーっ!!」

ガオーッ!!

檻の中に、迫力のあるライオンがいる。

「迫力あるなぁ?この歳になって動物園に来たら、何か新鮮だな?」

子供達の人気スポットの動物園に、デートに行くと、少し違った風景に見える。

厚切りのステーキのような肉の塊を、一口で食べてしまう姿に二人は驚いた。

「あんなの一口で食べるんだねぇ?」

「週に1回は絶食するするんだって。俺ならその日が来るの嫌だなぁ…………」

こんな雑学も子供の頃なら気付かなかったが、今では看板を読んでみると結構楽しめる。

「向こうには猿がいるみたい。行くぞ?」

「うんっ!!」

和樹が櫻の手を握ると、自然と握り返した。

そんな些細な事でも櫻は嬉しい。

和樹君の手って暖かいな…………

今度、手を繋げるのはいつになるのかなぁ…………?

高校に通っている間に、こっちに帰って来る事もあるよね…………?

その時は絶対に予定を空けて待ってるから…………

まだ肌寒い春。

仲良く手を繋いで猿のいる猿山へ向かって歩いて行く。