幼馴染み~初恋物語~

有紗と和樹が立ち止まって話しているのを見届けて、櫻が立ち去ろうとすると、和樹が呼び止めた。

「櫻?ちょっと待って?」

「えっ…………何?」

気まずくて、目も合わせられない櫻の前に和樹がやって来た。

「いきなりキスしてごめん…………」

「うん…………大丈夫…………」

お互いキスした後という事もあり、恥ずかしそうに視線を落としたまま。

そして和樹が言った。

「やっぱり俺は櫻が好きだ…………」

「えっ…………?」

驚いた櫻から目を離した和樹は、有紗を見た。

「悪いけど、もう櫻の悲しそうな顔を見るのも嫌だし……そんな櫻を本気で叩くような奴とは付き合えないよ……」

和樹だってバカではない。

腹黒さが透けて見えていた有紗を振ったのだ。

「つまんないっ!!結局、元サヤなのね?本当に不愉快っ!!」

捨て台詞を吐いた有紗は去っていった。