幼馴染み~初恋物語~

しかし櫻の思い通りにはならなかった。

些細な喧嘩とは状況が違いすぎた。

「ごめんな…………俺、櫻を幸せにできなかった。
いつも、不安にさせてたんだよな…………?
ずっと一緒にいる?とか、好き?って確認ばかりさせてた…………
櫻が心から笑ってなかったって気付いてたんだ…………」

「そ…………そんな事…………」

慌てて反論しようとする櫻だが、和樹の言い分に間違いはない。

それでも別れようと言ったのに、今さらやっぱりやめます。とは言えなかった。

櫻が泣いて胸に顔を埋めたのは、和樹ではなく龍聖。

「龍聖君…………わざわざ私の為に和樹君に言ってくれたのに…………ごめんね…………ごめんね…………」

龍聖が櫻を優しく抱き締めると、和樹はその場から離れていった。

龍聖なら櫻を幸せにしてくれると信じて。