図書室から出ようとした時、龍聖が声をかけてきた。

「おいっ!!櫻っ!!何で逃げるんだ…………?」

「はっ!!はいっ!!ごっごめんなさいっ!!」

ビクッと体が震えるほど驚いた櫻を手招きする龍聖。

「ちょっと来い…………」

「はい…………」

龍聖の隣に座ると、龍聖が顔を覗き込んでくる。

「な…………何よ…………?」

「相変わらず、寂しそうな顔をしてるな…………?」

「生まれつきこんな顔なのっ!!」

なんて反論してみるが、いつもの元気はない。

「和樹がサッカー留学するって話だろ?」

やっぱり龍聖は、櫻の気持ちをわかってくれる。

表情がわかりやすい櫻は、嘘がつけないので仕方なく話した。

「うん…………3年間会えなくなるから…………」

「3年間待てばいいだけの話だろ?何をそんな顔してんだよ…………」

龍聖の言う通りだが、冷静に考えると3年間は長い。