櫻がゴンドラから降りてくると、和樹が一人で待っていた。

「お帰り。櫻…………」

「和樹くーんっ!!」

櫻が和樹に飛び付くと、龍聖は黙ったまま集合場所へ向かって行った。

「有紗のやつ…………ビックリしたよ。いきなりキスしようとしてくるんだもんな?」

「私もビックリしたよ?何もなかった…………?」

「当たり前だろ?もう俺にあまり近付かないで?って言うために一緒に乗ったんだから」

櫻は和樹が有紗と二人きりになるのが不安だった。

でも和樹は有紗を断るために乗ったんだと知ると、嬉しくて堪らない。

和樹に抱きついたまま、笑顔で見上げた。

「じゃあさっ!!じゃあさっ!!私の事、好き?」

「うん。好きだよ」

「私も和樹君が大好きっ!!」

夕暮れの観覧車の前で、人目も気にせずお互いに好きだと確認しあう二人だった。