幼馴染み~初恋物語~

断ってくれる事を祈っていた櫻が静かにしていると、和樹の空いていた方の腕に腕を絡めてくる有紗。

「ねぇねぇ?櫻ちゃんと1日一緒に遊んだんでしょ?私と最後に1回ぐらいいいじゃんっ!!」

積極的な女の子の押しの強さに、和樹も櫻も言い返せず、二人の目が合った。

行かないで。と伝える櫻の目と、どうしよう?という和樹の目。

そこに自分の意思を押し込んでくる有紗はまた言った。

「もう時間がないからーっ!!早くしてよ~?」

櫻の手から、和樹の手が離れた。

「ちょっと行ってくるよ…………」

「えっ…………?」

有紗に連れていかれる和樹の背中を、悲しい目で眺めている事しかできなかった。