幼馴染み~初恋物語~

その時、和樹が櫻の耳元で囁いた。

「凄く楽しそうだな…………?今の櫻って可愛いよ…………?」

真っ赤になって、俯き気味の櫻が小さな声で答える。

「ありがと…………」

メリーゴーランドが動き出してからも、二人の密着した空間で、櫻は幸せを噛み締めていた。

ほんの少しずつかも知れないが、恋人らしくなってきている。

でもまだ物足りないのは「好き」と言ってもらえないから。

そこで、櫻は和樹に尋ねた。

「私の事…………好き…………?」

「当たり前だろ?そうじゃなかったら付き合ったりしないよ?」

有紗の事で不安な櫻は、気持ちじゃなく言葉で信じさせてほしいのに、「好き」と言ってくれなかった。

好きって言ってほしいのに…………

照れてるのかなぁ…………

やっぱり和樹は好きと言ってくれなかった。