すると櫻は賞状でも渡すかのように、両手で絵を和樹に差し出す。

「これからも…………仲良くして欲しいな…………」

「うんっ!!こちらこそっ!!」

絵を受け取った和樹は、櫻から貰った絵を受け取ると、即座に話し始めた。

「さっきさぁ?サッカーしてたら、グランドに犬が入ってきてさぁ?ビックリした~っ!!僕を追いかけてくるんだもんっ!!」

和樹はまだまだ女の子よりも全然子供なのか、照れているのか。

櫻から貰った絵を見向きもしない。

そんな和樹を好きな櫻は、話してくれれば、どんな話題でも楽しかった。

櫻は和樹の話を嬉しそうに聞いている。

誰にでもカッコいいと言う愛瑠に振り回されて、不安だった櫻の気持ちはようやく晴れた。




その日の夜。

和樹は櫻から貰った絵が嬉しくて、部屋に貼っておいた。

そして表から見えないように、裏側の隅の方に小さく鉛筆で一言だけ書き込んである。



【ぼくもさくらちゃんがだいすきだよ】

と。