しばらく話していた櫻が、和樹に笑顔でバイバイしているのを見ていた龍聖は、さらに不機嫌になった。

くそっ…………

黙れっ!!

俺の心臓っ!!

嫉妬で狂いそうになっている龍聖が、自分の胸をドンドンと叩いて、櫻が戻ったばかりの席にやって来た。

「んっ…………?どうしたの?龍聖君?」

不機嫌でも、怒っていても、本当は優しいと知っている櫻は、もう以前のように脅える事も少なくなった。

「クリスマスのイルミネーションに行くんだって?」

「うんっ!!そうだよ?凄く綺麗なんだって~。龍聖君も綺麗な女の人と読者モデルの撮影の帰りに寄ってみたらどう?」

龍聖はサッカー部のキャプテンと、読者モデルの仕事で休みがなく、デートらしいデートをしたことがない。

他の女の子達とも龍聖は仲がいいので、そう言ったのだが、それが火に油を注ぐ形となった。