幼馴染み~初恋物語~

ほんの1ヶ月くらい前まで、
「和樹君のお嫁さんになれない。」
とみんなの前で泣いていた櫻が今は頬を染めて俯いていた。

人に「好き」と言うのが、恥ずかしかったのだ。

小学生。この頃は急に大人っぽい事を言ったり、子供に戻ったりする多感な時期。

ちょっとお姉さんになった櫻は、母親にも和樹が好きだと言えなくなり、

「櫻は和樹君が好きなんだよね~?」

「そんなの秘密だよぉ…………」

なんて答えるようになっていた。

そして何より、愛瑠も和樹が好きだった場合、和樹と遊ぶのも半分ずつとか、順番ずつになって、次第に愛瑠とも仲が悪くなるんじゃないか?という心配もある。

「ううん…………好きじゃないよ…………?」

櫻の答えに驚いた愛瑠が笑った。

「あっれ~?櫻ちゃんの顔に、和樹君が好きです。って書いてあると思ったんだけどなぁ?」

「えっ!!えっ?」

慌てて顔を触る櫻を見て、また笑う愛瑠。

「あははっ!!本当に書いてある訳じゃないよ?愛瑠の勘はよく当たるんだけどなぁ?」

「う~ん…………当たってるような…………外れてるような…………」