幼馴染み~初恋物語~

その日の練習が終わった櫻は、和樹のいた窓を見てみると姿はない。

でもまだ帰っていないかも知れないと、慌てて着替えてダッシュで部室から飛び出す。

櫻が下駄箱で靴を履き替えようとした時、和樹の姿が見えた。

「よっ!!櫻。慌ててどうしたんだよ?」

「よかった~。帰ってなかったんだね?良かったら一緒に帰ろ?」

「うん。別にいいよ」

久しぶりに二人で並んで歩く見慣れた下校の道。

「こうやって和樹君と一緒に帰るの久し振りだね?」

「そうだな?」

「学校って久し振りに来てみてもつまんねぇな?誰も近寄って来ないし」

卒業式で派手にバイクで乱入する金髪だった男に、いきなり仲良くしようというのは無理な話。

退屈だった1日が過ぎて、サッカーの練習を見ていたのは、やっぱりサッカーがしたいという事。

櫻だってそんな事は、すでにお見通しである。

わざわざ慌てて和樹を迎えに行こうとしたのも、これが伝えたかったから。

「サッカー部の先生に謝って、サッカー部に戻らせてもらおうよっ!!私も一緒に謝って、あげるからさ~?」

櫻ができる映画のチケットのお礼。

それは和樹が子供達とサッカーをしていた時の笑顔を取り戻してあげる事だった。