幼馴染み~初恋物語~

櫻が教室に到着すると、久しぶりの学校で友達がいない和樹は、机に足を乗せてサッカーの雑誌を見ていた。

「和樹くーんっ!!」

慌てて雑誌を背中に隠した和樹。

こんなの櫻に見つかったら…………

サッカーを続けろとか言いそう…………

そんな和樹の心配は当たっていた。

また櫻は和樹の本音はサッカーがしたいんだろうな?と感じていた。

でも今はそんな用事ではない。

和樹が廊下に出てくると、ニタニタと不気味に笑っている櫻が、肩で肩をぶつけてくる。

「何だよ…………気持ち悪いなぁ…………」

「映画のチケットありがとうね~」

「あぁ…………貰ったから一緒に行っただけだし、気にすんなって…………」

意地でも自分が買ったと言わない和樹を、またニタニタと笑って肩をぶつける。

「映画のチケットありがとうね~」

「なんだよ…………もうわかったって…………」

何回でもお礼が言いたい櫻は、本当はこの場で大きな声を出して言いたかった。

和樹君が自分でチケットを買って、映画に誘ってくれたんだよーっ!!と。

和樹のプライドを傷つけないのも女の役割である。

櫻は知らない振りをしてあげることにした。