健一と会えない間、櫻はトークアプリでの会話で、愛を育もうとしていた。

【今日の体育の時間は100メートル走のタイムを計りました~。健一先輩の高校も体力測定とかありますか?】

こんな何気ない日常の会話もあれば、愚痴の日だってある。

【今日、抜き打ちで小テストがあったんですよ。
急にテストなんて先生ずるいっ!!
健一先輩っ!!今度勉強を教えてくださーいっ】

早く会いたいという気持ちを出して、勉強を一緒にしましょう。という誘いも付け加えたり、自撮り写真を載せる事もあった。

【会えなくて寂しいから、ワンちゃんのぬいぐるみを健一先輩と思って一緒に寝てます】

お祭りの時に健一がお金を出してくれた、くじ引きの時のぬいぐるみを枕元に置いて、一緒に寝ている風の写メを添付したり。

時にはわがままを言って甘えることもあった。

【健一先輩が塾を休んでくれたら、今すぐ会いに行くのにな~。早く会いたいよーっ!!】

こういう話題が毎日、健一のトークアプリに送られてきていたが、結局櫻と会えるのは1ヶ月後だった。