そんな話をしていると、学校の門が見えてきた。

「あっ!!和樹君っ!!学校の門が見えるよ?」

「本当だっ!!あれが小学校かぁ……櫻ちゃんと僕のどっちが早く門に触れるか競争しよっか?」

「うん。よーいどんっ!!」

走るとやはりフットサルで鍛えられている和樹の足は断然速くて、櫻には全くついていけない。

「いっちばーんっ!!」

「ハァ…………ハァ…………和樹君、走るの速すぎるよぉ…………」

男の子はこういう時、なぜか競争したがるものである。

勝って嬉しそうな和樹と、肩で息をしている櫻が正門に到着すると、櫻は珍しそうに学校の名前を読み上げた。

「市立虹色小学校…………?」

二人の通う学校は市立虹色小学校。(いちりつにじいろしょうがっこう)

学校の門、よくわからないおじさんの石像など、学校には二人が見た事の無いものがまだまだいっぱいある。

「櫻ちゃん見て?ウサギがいるよ?」

「可愛いっ!!」

「和樹君っ!!あそこで野菜育ててるよ?」

「あれで給食作るのかなぁ………?毎日野菜ばっかりじゃ嫌だなぁ…………」

校門から入学式が行われる体育館に続く道の途中にある、ウサギ小屋や、校内で育てている栽培を見て一喜一憂する二人。

新しい学校生活が楽しみな櫻と、ちょっと不安な和樹は、体育館へと向かっていった。