幼馴染み~初恋物語~

「俺、ちょっと急いでるから先に帰るよ。じゃあまた明日っ!!」

和樹が校門の手前で友達と分かれて、走り出した。

和樹も櫻が何の為に呼び出したのかわかっている。

健一が「俺達は付き合ってない」とわざわざ伝えに来て、その後の大事な話。

そして来てくれなかったら諦めます。と書いてあると、答えは1つしかない。

杏佳とまだ別れていないが、もう言えるタイミングを探っているような状況だった。

和樹が校門から出てくると、小さく震えるような声が聞こえて来た。

「和樹くん…………」

「えっ…………杏佳…………」

ビショ濡れの状態の杏佳が、フラフラとしんどそうに和樹に寄ってきて、高熱でもあるかのように、和樹に抱きつく杏佳。

「和樹くん…………暖かい…………」

「ビショ濡れじゃないか?傘は?何でこんなところで待ってるんだよ?」

「急に和樹君の顔が見たくなって…………雨の中待ってたんだよ…………」

「大丈夫か?凄くしんどそうだけど…………?」

「しんどいけど、和樹君の顔が見れたから、大丈夫だよ…………」

明らかに大丈夫ではない雰囲気で、和樹にもたれ掛かる杏佳。

大丈夫だと言っていても、こんな様子の杏佳を放っておくわけにもいかない。

「家まで送って行くよ…………」

約束していた櫻を放っておいて、和樹は杏佳の家へと向かった。