幼馴染み~初恋物語~

それを見た健一が、櫻に耳打ちする。

「祭りってああいうのよくいるよな…………?俺らと同じ歳くらいかな?」

「そうですね…………恥ずかしくないんですかねぇ…………」

唇を重ねていた男女が、顔を離すと女の方が言った。

「もしかして、これがファーストキスだった?緊張して唇が震えてたよー?」

「まだ中1なんだから、初めてでもいいじゃんっ!!」

ムキになって言っている男の子の頭を撫でた女の子が、こちらを見た。

「キスしたら、お姉さんの事をもっと好きになってくれた?ねぇ…………和樹君…………」

「うん。杏佳の事、大好きだよ?」

和樹は全く気付いていないが、杏佳は明らかに櫻を見ていた。

ポトッ

櫻が抱えていた犬のぬいぐるみが、足元に転がって、放心状態になってしまう。

和樹君だったんだ…………

好きって言って…………

キスしてた…………

あれが本当のファーストキス…………

私の寝ている間のキスなんて、ファーストキスって言わないから…………