幼馴染み~初恋物語~

「私達、付き合ってないよ?」

「俺達付き合ってないけど、誰に聞いたの?」

「えーっ!!テニス部のみんなが話してたよーっ!!キャンプの時に、夜中二人でこっそり抜け出してキスしてたって。もううちのクラスでも広まってるし」

人の噂話は、簡単に信じるもの。

二人の知らない間に、公然の仲として認識されていた。

この噂を和樹君も聞いたんだ…………

きっと…………

そこで二人は慌てて否定した。

「キスなんてしてないってっ!!」

二人の声が揃うと、柚乃が笑う。

「声が揃ってんじゃんっ!!やっぱり二人は気が合うね~?健一先輩?櫻の事を彼女にどうですか~?」

柚乃だってわかっている。

彼女のいる和樹を追いかけているより、新しい恋に進む方が櫻にとっても幸せに決まっているのだから。

冗談ぽく言った柚乃が、櫻の体を健一に向かって押し出すと二人は戸惑っていた。