幼馴染み~初恋物語~

和樹も同じように櫻に声がかけにくい状況になっていた。

和樹が生まれて初めて感じた嫉妬。

僕が話してるのに、櫻ちゃんをどっかに連れて行ったりして…………

真吾君は櫻ちゃんを好きなのかなぁ…………

好きだからちゅーしたのかなぁ…………


和樹と櫻の間に重い空気が漂う中、真吾が嬉しそうに笑いながらやって来た。

「最近の若いもんは唇が柔らかいな~っ?」

子役というのは、幼い頃から大人の世界を見ている為、和樹や櫻よりも少し大人。

こんな言葉も、ベテラン俳優が若手女優に言った言葉の真似事。

「櫻ちゃんとキスしちゃった~」

なんて自慢げに話している真吾の前に立った和樹は声を荒げた。

「何でちゅーしたんだよっ!!櫻ちゃんが嫌がってるだろっ!!」

「いいじゃん?別に減るもんじゃないし。」

またどこかで聞いたようなフレーズを口にする真吾の肩を和樹が思いっきり押す。

「ちゃんと櫻ちゃんに謝れってっ!!」

「何で謝らなきゃいけないんだよ?お芝居だろ?」

「先生がちゅーの真似って言ってただろっ!!」

こうしてまた和樹と真吾の喧嘩が始まった。