幼馴染み~初恋物語~

中学での恋の噂は、すぐに出回る。

キャンプに行ったテニス部員が、健一と櫻が夜中に二人でテントから抜け出して、川原で抱き合ってキスしていた。という噂が流れていて、和樹もそれを聞いたのだ。

実際には泣いている櫻を健一が、背中を擦って慰めていただけなのだが、噂は尾ひれがついて、面白く脚色されていくもの。

事実はどうであれ、和樹に健一と付き合っていると思われるのは困る。

しかしいつでも味方をしてくれる健一を振った事を、この場で釈明したくもない。

そんな事をすれば、健一のプライドが潰れてしまうからだ。

「付き合ってないし…………」

櫻は小さくそう言った後、廊下にいる和樹と杏佳に聞こえるようにはっきりと言った。

「私は和樹君と昔みたいに友達に戻りたいんだもんっ!!!!!!」

櫻は和樹がいる扉と反対の扉から出ていって、泣きながら走り出した。