小学生の頃、1000円だけ持って和樹と一緒に通っていたお祭り。

今年は一緒に行けないと思っていたが、柚乃の言葉が引っ掛かった。

友達としてなら和樹君とお祭りに行けるのかなぁ…………

彼女が友達とお祭りに行けば、和樹君の予定は空いているはず…………

ダメダメっ!!そんな事をしたら杏佳って人に悪いしっ!!

そんな葛藤をしていた櫻の隣で、休憩していた部員が一斉に立ち上がった。

「こんにちは~っ!!」

「こんちはーっ!!」

誰か先輩が来た時の挨拶だ。

「お疲れさーんっ!!」

そう言って、軽く手を上げたのは健一先輩だった。

櫻も慌てて立ち上がって、頭を下げる。

「こんにちは~っ!!」

櫻を見てニコッと微笑んだ健一が、みんなに向かって言った。

「よっ!!みんな練習頑張ってるか~?」

「はいっ!!!!」

一斉に部員の返事が揃うと、健一はこんな話を始めた。