一生懸命、フォローの言葉を泣きながら言った櫻は、健一の優しさが辛かった。

トークアプリで失恋した事を伝えたのも、健一なら寂しさを紛らわせてくれるから。

部活中も健一に心配させないように、できるだけ笑顔で通うというのを実行したが、それも健一なら優しくしてくれるから。

自問自答を繰り返しているうちに、和樹の代わりを健一にさせようとして、重ねて見ていた事に気付いた櫻。

和樹がダメなら健一でいい。と心のどこかで、そんな失礼な事を思っていたのだ。

それを健一は自分が邪魔をしたと言って謝罪してくれた。

健一先輩…………

それは違うよ…………

私が健一先輩に甘えてたんだよ…………

傷つけたのは私の方…………

私って最低だ…………

「…………ごめんなさい…………」

泣いている櫻の背中を擦っていた健一先輩に、何度も謝って、ただただ自己嫌悪に陥っていた櫻に、また健一の優しい言葉が胸を痛める。

「櫻ちゃんが寂しくなったら、いつでも力になるからね…………」

泣いている時に優しくされると、余計に泣きたくなってしまう。

櫻が泣き止むまで側にいてくれた健一は、やっぱり憧れの先輩だった。