そこまで言うと、櫻は視線を反らしてまた俯いた。

「…………んっ…………グスン…………で…………でも…………ごめんなさい…………まだ幼馴染みの事が好きなんです…………」

櫻の答えはNO。

健一先輩が優しいからこそ、付き合えないと判断したのだ。

まだ和樹の事を忘れられていない櫻は、健一を和樹を忘れるための道具にしたくなかったのである。

中途半端な気持ちで付き合えば、もっと健一を傷つけてしまう。

そんな気持ちで断ったのだった。

泣いている櫻の顔を覗き込んだ健一は、櫻を慰めるように呟く。

「俺の方こそごめん…………櫻ちゃんがまだ幼馴染みの事を想ってるのに、邪魔をしようとした俺の方こそごめんね…………」

「健一先輩には…………グスン…………わ…………私なんかより…………素敵な彼女ができますよ…………」