幼馴染み~初恋物語~

ヒュー

バサバサ

「きゃあーっ!!」

真っ暗でほとんど見えない視界に、風の音と木が揺れる音だけでも怖くて、櫻は健一の背中のシャツを強く掴んだ。

「櫻ちゃんは怖がりだなぁ?風が吹いただけだよ?」

「で…………でも…………」

こういう事が起こるので、男子は女子と肝試しに行きたいのである。

脅えている子がしがみついてくると、可愛らしく思えるもの。

健一が背の低い櫻に視線を合わせるように屈んで、頭をポンポンと子供扱いするように軽く叩いて言った。

「怖かったら、俺の後ろに隠れて歩いてもいいよ?」

「はい…………お願いします…………」

健一の声が、普段より一層逞しく感じられた櫻は、健一の背中を掴んだまま神社まで歩いていき、鐘を鳴らして無事に帰ってきた。