幼馴染み~初恋物語~

櫻は部活にも行かず、泣きながら家に帰ってきた。

明かりの付いていない暗い部屋に閉じこもって、ベッドの端に体育座りをしたまま、泣き崩れる櫻。

和樹と杏佳が付き合ってるかも?と、心のどこかでは覚悟はしていたつもり。

今日も、付き合ってるかを確認しに行ったのだから、泣くつもりなんてなかった。

しかし、いくら頭ではわかっていても、心は嘘をついてはくれない。

思い出が多いほど、寂しくて、辛くて、心に穴が空いたような感覚に陥る。

「嘘だって…………言ってよ…………和樹くん…………」

何度も何度もトークアプリを見て、和樹からの着信を確認するが、何も着信はない。

櫻は机の引き出しを開けて、おもちゃの指輪をてにした。

和樹からもらった幼い日の婚約指輪である。

あの約束…………

和樹君は忘れてるんだろうな…………