幼馴染み~初恋物語~

泣いて廊下を走り去って行く櫻を見ていた和樹は、静かに呟いた。

「泣きたいのはこっちだよ…………櫻がキスした相手って、いったい誰なんだ…………」

好きな子が他の誰かとキスをした。なんて聞いたら、百年の恋も覚めてしまう。

中1の愛の確認は、大人の体の関係ではなく、キスだと思うほど重要なもの。

それが誰かとキスをしたなんて、和樹は嫉妬で頭がおかしくなりそうだった。

だから、前から言い寄って来ていた杏佳と付き合う事にしたのである。

お互いに好きであれば好きであるほど、些細な誤解で恋を終わらせてしまうもの。

恋を木に例えるとすれば、水(愛情)をお互いに少しずつ与えて育てていかないといけない。

どちらも多くの水を注げば根が腐って木は枯れてしまう。

どちらか片方が大量に水をあげていても木は枯れてしまい、片方が水をあげなくなっても枯れてしまう。

好きすぎて重いと思われる事もあれば、冷たくしすぎて恋の駆け引きに失敗する事もあるという例え話。

こうした失敗を繰り返しながら、少しずつ恋愛を覚えていくのだから。