幼馴染み~初恋物語~

卒園式の前日。

お遊戯会の練習も大詰め。

未だに元気のない和樹を心配そうに見つめていた櫻は、自分が何とかしなきゃいけない。と責任すら感じていた。

私が和樹くんに…………

王子様になってなんて言ったからかなぁ…………?

元気のない和樹を見ていると、自分の方まで悲しくなってくる。

和樹が小人の衣装に着替えると、櫻が駆け寄ってきた。

「和樹くーんっ!!ちょっとこっちに来て?」

小さなドレスを着た櫻が和樹の手を引いて教室の隅に連れていく。

「これあげるよ?」

「何これ?」

櫻から手渡された物を見ると、ノートの切れ端に、おまもり。と書いてあった。

櫻がニコッと笑うと、和樹を見つめる。

「和樹くんが台詞を間違えないように言えるお守りだよ?王子様がカッコいいんじゃない。頑張った人が一番カッコいいんだよ?」

すると元気のなかった和樹が満面の笑みを浮かべた。

和樹はこれまで王子様は格好良くて、小人は格好悪いと思っていたが、櫻の言葉によってモヤモヤしていた気持ちが晴れた瞬間だった。

「うんっ!!僕、小人の役を頑張るよ?櫻ちゃんもお姫様の役を頑張ってね?」

櫻のおかげで和樹はその後、しっかり気持ちを込めて台詞が言えるようになった。