幼馴染み~初恋物語~

「あっ…………えっと…………えっと…………」

和樹は生まれて初めて誘われたデートという言葉に、過剰に反応してしまう。

これが「遊びに行こう」なら特に深く考えなかったのかも知れない。

しかしデートという事は、付き合うという事なのだろう。

今すぐに返事ができない和樹は、視線を下に向けて悩んでいた。

好きじゃないのに付き合う…………?

でも櫻は、俺の事を好きじゃないみたいだし…………

連れて歩くには、杏佳さんって可愛いよな…………

「これが俺の彼女だよっ!!」なんて言えれば、カッコいいよなぁ…………

まだ中1の和樹は、好きか嫌いではなく、顔が可愛いかどうかで判断してしまう。

それが男の思春期。

「少し考えさせてもらってもいい…………?」

和樹は結局、曖昧な返事しかできなかった。

そんな二人が話している姿を、櫻が校舎から見ていたとは、知るはずもなく。