幼馴染み~初恋物語~

和樹と杏佳が教室前の廊下から姿を消すと、気になってたまらない櫻。

和樹君はあの茶髪の人の事をどう思ってるの…………?

もう付き合ってるの…………?

あれから杏佳の話は全く出てこない。

和樹を見張っているわけでもない櫻にとって、杏佳と何回会ってるかなんて知るはずもない。

わざわざ仲良さそうに杏佳がやって来ているのだけが、現在知っている事。

櫻は和樹が自分の事を好きじゃないなら関係ない。という強がる気持ちと同時に、本音では寂しい気持ちでいっぱいだった。

そんな時、柚乃が櫻に話しかけてくる。

「最近、櫻って健一先輩と仲良いよね?好きだったりするのー?」

どうしても女の子は人の恋路の話題が好きなので、教室でもこんな話題が出てくる。

「よく話しかけて来てくれるから、話してるだけだよ~っ?好きって言うよりも、優しい先輩とかお兄ちゃんとかそんな感じかなぁ?」

そう答えた櫻は、一瞬、健一先輩の彼女になった自分を想像したのだった。

自分が弱っている時、困っている時、優しくしてくれる男は魅力的に映ってしまうもの。