幼馴染み~初恋物語~

自分の事をお姉さんと言うのは、弟のような少年を可愛がりたいという心理の表れでもあり、メイクやファッションだけでなく、お姉さんらしく、少しでも背伸びしたい年頃。

「和樹君は喉が渇いてない?お姉さんがジュースを買ってきてあげるよ~」

と言えば、普通に「ジュースを買ってきてあげるよ~」と言うよりも、一言付け加えるだけで、尽くしているように聞こえる。

女の子は生まれながらの女優である。

誰だって恋する女の子は、相手に自分をよく見せたいもの。

可愛い子だと思われたい。

優しい子だと思われたい。

好きになってもらいたい。

杏佳も例外なく和樹に対して、そんな気持ちを持っていた。

楽しそうに話している杏佳と、緊張で上手く話せない和樹。

対照的な二人は、ギクシャクした感じのまま帰っていった。