そして幼稚園の卒園が迫った3月。
卒園式の日に保護者達の前で披露するお遊戯会の配役を決める時間。
櫻達のクラスは、白雪姫の劇をする事になったのだ。
「誰かお姫様がやりたい人、手を上げて~?」
担任の若い女の先生がそう言うと、櫻が真っ先に手を上げた。
「私、お姫様がやりたいっ!!」
櫻の後に手を上げる女の子達。
「私もお姫様したい」
「はーいっ!!私もーっ!!」
この頃の女の子はお姫様に大なり小なり憧れているもの。
当然、複数の立候補者が手を上げた。
和樹くんが王子様…………
それで私はお姫様がしたい…………
どうしても和樹と一緒に主役がしたい櫻を含めて、お姫様は立候補者5人。
その中で櫻はじゃんけんをして勝ち残った。
「やった~っ!!勝ったよ~っ!!和樹くんが王子様がいいなぁ?」
「櫻ちゃんがお姫様かぁ?僕も王子様になるね?」
王子様のじゃんけんは、立候補者が2人。
和樹と子役をしている真吾の一騎討ち。
「和樹くんっ!!頑張って~っ!!」
和樹と真吾の真剣勝負のじゃんけんを見ている櫻が応援してくれていた。
絶対に負けたくない…………
僕は…………
櫻ちゃんの王子様になるんだ…………
絶対に負けられない男の戦いは、こんな幼い時でも突然やってくるものだ。


