幼馴染み~初恋物語~

「小学校の時、グランドに犬が入ってくると騒ぎにならなかった?」

「はいっ!!なりましたね~?別に犬なんて珍しくないのに、学校に入ってくると大騒ぎしてました」

「櫻ちゃんって何かペット飼ってたりする?犬とか猫とか」

「うちはチワワを飼ってますよ?すっごく可愛いんですっ!!」

櫻の嫌な気持ちを和ませてくれるテニス部の先輩は、中学3年の綾木 健一(あやき けんいち)

中学生にしては背が高い方の176センチ。

黒髪のサラサラヘアが特徴のイケメンの先輩。

「よそ見してないで練習しないと、先生に怒られるぞっ」

ニコッと笑った健一が、櫻の頭をポンと軽く叩く。

「はいっ!!頑張りますっ!!」

櫻は健一に気を紛らわせてもらって、自然と笑顔が溢れていた。

健一から見ても、櫻が複雑そうな表情で杏佳達を見ているのは明らかだったが、そこに触れないのも優しさ。

櫻から聞いてくださいと言われたなら聞くが、そこまで悩んでる訳でもなさそうなので、違う話で気を逸らせたのだ。