幼馴染み～初恋物語～

学校に到着してチャイムが鳴るまでに、櫻の宿題を写そうと必死になっていた和樹と、机の横に立って見ている櫻に、廊下から和樹を呼ぶ声が聞こえてきた。

「和樹くーんっ!!」

ガヤガヤと騒がしい教室で、宿題を写すのに必死な和樹は聞こえていなかったので、櫻が先に振り向いた。

見たことのない金髪と茶髪の二人組の上級生が、和樹の名前を呼んでいるのだ。

二人組の上級生は、良い言い方をすれば、髪を染めていて、メイクバッチリのギャル系で読者モデル風。

しかし悪く言えば不良少女。

そんな上級生の茶髪の方が、もう一度名前を呼んだ。

「和樹くーんっ!!」

これまでに、サッカーのおかげで、ひそひそ話の中で、和樹の名前が聞こえてくる事は何度かあったが、直接こうして呼ばれるのは初めての事だった。

しかし、こうして和樹に声が掛かるのは時間の問題だと思っていた櫻の不安は的中した。