幼馴染み~初恋物語~

櫻は怒った振りをして文句を言っていても、和樹は自慢の友達であり、幼馴染みであり、初恋の相手で、現在も好きな人。

内心ではこうして和樹に頼られるのが嬉しかった。

「絶対に今日だけだよ。明日から自分でするって約束できる?」

「うんっ!!指切りしてやる」

「なんで上から目線なのーっ!!」

こんな風に軽口を叩きあうのはいつもの事。

長年一緒にいるので、何を言っても特に大きな喧嘩になるような事はない。

何でも言える仲でも、好きという気持ちは幼い頃と違って言葉にできず、胸に閉まったままで、今でも友達以上恋人未満という関係。

それは和樹も同じで、櫻の存在は時には今回のように頼れる姉と弟のようであり、時には弱虫な櫻を守らないといけない兄と妹のような関係。

好きという気持ちは同じだが、素直になれないのはお互い様。

好きという気持ちを隠すために一切そんな素振りも見せず、好きじゃないという雰囲気を出していた。

「私じゃなかったら、誰も見せてくれないんだからねっ!!」

「ありがとーっ!!やっぱり櫻は頼りになるなぁ。」

結局、いつも櫻は和樹のわがままを許してしまう。

だから最後に一言だけ、自分は特別な存在だと気付いてほしくて、付け加えてるのだ。

私じゃなかったら、と。