幼馴染み~初恋物語~

櫻がドキドキしながら見ていると、和樹も嬉しそうに笑っていた。

「そうなの?ありがとうっ!!」

「チョコレートの袋の中に手紙が入ってるから…………家に帰ったら読んでくれないかな…………?」

「うんっ!!帰ったら読むね~」

緊張した面持ちの穂香と、あまり何も感じていない和樹。

やっぱりこういう時、男の子の方がは少し鈍感。

何人かがくれた小さな友チョコと同じ扱いだと思っていた。

櫻から貰うのは特別な物。

他の人から貰う物は義理チョコ。

そんな思いの和樹とは裏腹に、気にしているのは、こっそり隠れて見ていた櫻の方。

穂香ちゃんの高いチョコレートに比べたら…………

私のなんて子供っぽい…………

きっとあのチョコレートは美味しくて…………

私のは美味しくないかも知れないし…………

そう考えると、今さら熊の形をしたチョコレートを渡すのが恥ずかしくなってきた。

その辺りは櫻もまだまだ子供。

高い服や靴は可愛くて、安いのはイマイチというイメージ。

櫻が和樹の喜ぶ顔が見たいと思って、一生懸命作ったチョコレートは確かに安物である。

幼い櫻にとって、大切なのはプレゼントを送る気持ちだと言うことは、まだまだ考えられないのだった。

やっぱり渡せないな…………

もう帰ろう…………