幼馴染み~初恋物語~

友チョコの分が終わると、最後は和樹の分の可愛い熊の形をした型。

板チョコを溶かすと思いのほか、量を使うので、途中でチョコレートが足りなくなってしまう。

「和樹君の分が…………ない…………ひっく…………ひっく…………ひっく…………うわーんっ!!」

一番大切なチョコレートが作れなくて、櫻は大声で泣き出してしまった。

「泣かないの。もう1回チョコレートを、買いに行けばいいだけでしょ?」

「うん…………もうチョコレート売り切れたりしてないかなぁ…………?バレンタインだし…………」

「そんなにチョコレートが売れたりしないわよ~。スーパーまで買いに行こうね?」

バレンタインデーで、チョコレートが無くなる心配をしていた櫻は、母親に連れられてスーパー行くと、同じようにチョコレートが足りなかった親子が数人買い物に来ている。

その中に愛瑠の姿もあった。

「愛瑠ちゃんもチョコレート足りなかったの?」

「えっ?櫻ちゃんも~っ!!チョコレート作るの難しくない?」

「凄く難しいよね~?少し多めに買ってもらおっと」

「愛瑠も多めに買ってもらおーっ!!」

スーパーで安売りの板チョコを持って、親の買い物かごに入れた二人は、満足そうな表情をしていた。