幼馴染み~初恋物語~

バレンタインデーが近付くと、女の子達の話に、今度は男の子の話題も出てくる。

櫻と愛瑠もその話題で持ちきりだ。

「櫻ちゃん?男子は誰にあげるの~?」

「秘密ーっ」

「和樹君にあげないの?」

「うーん……秘密だってばぁ…………」

少し俯き気味になって、顔を赤くする櫻を見て笑う愛瑠。

「櫻ちゃんの顔あかーいっ!!」

「もーっ!!愛瑠ちゃんっ!じゃあ愛瑠ちゃんは誰にわたすのーっ!!!」

「秘密だよーっ!!」

その時、櫻は和樹と目が合ったが、気まずそうに視線を反らした。

バレンタインデーまで、チョコレートの事は知られたくないという気持ちがあり、和樹から慌てて視線を外した櫻。

女の子達も口にしないだけで、好きな子に渡すチョコレートは特別な物を用意しているもの。

櫻も友チョコは小さな袋に、丸、三角、星の形をした小さなチョコを入れた物。

和樹用のチョコレートには、可愛い熊の形をした型を用意していた。

和樹君だけは、他の人と違うチョコレートにするから…………

喜んでくれると嬉しいなぁ…………

好きな男の子には特別な物。

それが幼い櫻の乙女心。