幼馴染み~初恋物語~

みんなで歌を歌う時間。

お喋りが楽しい夕食。

銭湯のような大きなお風呂に入る時間。


楽しい時間はあっという間に過ぎて、寝る時間となった。

大広間に布団が敷かれて、30人の子供達が一緒に寝る。

そんな時、親が恋しくなって一人が泣き始めると、数人がもらい泣きしてしまった。


「お母さんに会いたいよぉ…………ぐすんっ…………うぇ~ん…………ひっく…………」


こんな声を聞いていると、櫻もお母さんを思い出して、急に寂しさが込み上げてくる。

そんな櫻が離れた場所からやって来て、和樹の布団に入ってきた。


「和樹く~ん…………」


「どうしたの?」


「お母さんがいないと寂しくて…………」


今にも泣きそうな櫻の頭を優しく撫でると笑顔を向けた。


「大丈夫だよ?今日は僕がいるから寂しくないだろ?」


「でも…………」


「じゃあ一緒に寝よっか?」


和樹が櫻の体を包み込むように抱き締める。


「これで寂しくない?」


「うん。寂しくないっ!!」

「僕も寂しい時、お母さんがぎゅってしてくれたら寂しくないんだ」

「うんっ!!私も同じだよっ」

涙を浮かべたまま強がって笑って見せる櫻と、元気になってくれて嬉しそうな和樹は、一緒に布団の中に潜り込んだ。