「藍ー。机の上に書類ないー?」



先輩の声がリビングの方からする。




「書類ですか?ちょっと待ってくださいねー。」



夕飯をつくっている手を一旦止めて机の上を探す。


また書類紛失したのかなー?



んー。特に何もないなぁ。



「先輩ー?何もない…ひゃっ!?」



名前を呼ぶと同時に後ろから抱きしめられた。




「今、先輩って呼んだでしょ。」



少し先輩のトーンが低い。機嫌が悪いのかな?




「あ、ごめんなさ…。じゃなくてごめんね?まだ慣れなくて。」





「そろそろ綾斗って呼んでくれてもいいのに。俺らはもう夫婦だろ?」




そう私達は一年前に結婚した。



結婚をする前から同棲はしていたが、







ーーーあの日は先輩の教員試験の合格祝いの日だったんだ。


「先輩!今日は合格おめでとうございます!!」



「ありがとな。藍。」