私の元部下が敬うのを止めない件



『何を仰られるのです!?』
『初対面で私とわかっていながら、敬語を使わなかったのはお前じゃないか』
『そっ・・・それは、』

魂そのものが存在である神。
人並みに魂が堕ちたとは言え、神に近い心優と哲は魂で物事を見る方に慣れていた。
その為最初から、互いに互いを把握していた。

『いいと言っているんだ。
私はこちらの生活を、お前が思っているより楽しんでいる。
年功序列はあちらでもあった』
『いいえ、そういうわけには、』
『それでは、これからもよろしくお願いします。先輩』
『お止めください!美弥神様!!』
『私の名前は心優です。あとさっきの録音は消しておいて下さい』
『殺生な・・・あ、美弥神様!美弥神様!!』









・・・―と。
そんな風に会話を交わしたのは昨日。
入学式後千佳子と登下校の約束をした心優は、早速一緒に学校に向かう。

「身体測定なんて久しぶりにやるよ」
「嫌だなあ・・・体重、絶対に増えてるよ」

千佳子の溜め息と共に吐き出された呟きは、全国の女子が抱えた物だ。
しかし心優は、千佳子が痩せたいと思う理由がわからなかった。心優からすると、どう見ても細身なのだ、千佳子は。
確か中学三年生の身体測定では、159㎝で51㎏と言っていた。

「千佳子は痩せすぎだと思うけれど。昨今の細身が美人という流行に流されすぎでは?」

首を傾げる心優。
千佳子は更に深い溜め息をつく。

「女子高生が昨今とか・・・。
そう言う心優は、もうちょっと痩せたら?
マシュマロ女子ブームだけどさあ、結局痩せてるのが一番なのよね」

千佳子から見ると、心優はお世辞にも華奢とは言えない体型だ。
二重顎だし、頬も丸く、お腹は服の上からはわからないが脱ぐとぽっこりしている。
しかし心優は不機嫌になる様子もない。逆に益々首を傾げた。

「マシュマロ女子?」

単に意味がわからなかったらしい。
心優は流行にとんと興味がなかった。

「ぽっちゃりってことよ」

意味を千佳子が教える。
すると、きょとんとした顔がハッとしたものに変わり。

「・・・・あっはっはっはっ!マシュマロ、な、成る程っ・・・はっはっは!上手い!上手いよ、千佳子!」

爆笑。
千佳子は心優の笑いのツボが未だに理解できない。
周りの視線も痛い為、千佳子は心優の腕を取りぐいぐい進み出した。

「千佳子は本当に色々知っている。話していて楽しいよ」
「・・・心優に色々知ってるとか言われても・・・。心優が流行に疎いだけよ」
「流行は嫌いじゃない。
でも、人を傷付けるような流行は苦手だ」

例えば汚職だったり恥態だったり。
だからSNSも嫌いなのかと千佳子は思う。

「千佳子はその点、私が大丈夫な流行を教えてくれる」
「私を媒体扱いしないでよね!」
「勿論。千佳子は私の友人だ」
「うううううるさいのよ!!」

ぶんぶん手を回す千佳子。
けれどやはりその顔は赤い。