花明かりの夜に

「え?」


口にほおばったまま目を丸くする。


「甘いものより、少し塩の聞いたものや、香りのあるものが好きなのじゃないかと思ってね。沙耶は」


紫焔はそしらぬ顔で、自分の茶菓子をつまんで口にした。


(そう……かもしれない)


好きな茶菓子の種類なんて、あんまり意識したことがないけれど。


(自分でもわからないのに、どうしてわかるんだろう――わたしの菓子の好みなんて)



「……そうそう、昨夜、この部屋にこんなものが落ちていてね」


紫焔は、どこからか小さくたたんだ紙らしきものを取り出した。


「君の落としものかな?」