花明かりの夜に

人間というより、モノみたいなものだから。


そんな風に、投げやりに思っていた。

ただただ無気力に、その日一日が早く終わってくれることだけを願って、いやな日々を重ねた。


 * * *



「沙耶。君を引き止めるには、茶菓子しか思いつかなくてね」


一手、手合わせが済むと、例によって帰ろうとするところにさっと用意された茶の席。


「もともと暮六つまでの約束なのだから、引き止めているというのも変なのだけれど」


紫焔は濃い紫色の羽織をはおりながらおかしそうに笑うと、茶菓子を指し示した。

ひとつの膳の前にゆったりと腰掛ける。


「……」